がんと子育て、謙虚と感謝を小脇に抱え

前回セカオピのセカオピを
受けた話を綴りましたが、一ヶ所目はけんもほろろでしたので次に期待をかけておりました。(よろしければこちらをどうぞ↓)
2箇所目、こちらは正直期待をしている部分がかなり大きかったです。
悪性腹膜中皮腫と診断を受けているが「良性」腹膜中皮腫の可能性も捨てきれないと言われていた事。
「良性腫瘍」の可能性。
期待をしちゃいけない、最初に見つけてくれた人は大学で中皮腫を研究していた人だから。
わかってはいるのだけれど、確かに良性腹膜中皮腫の患者さんも存在する。なので良性だったら…、そうしたら死の恐怖から解放され、安心して子供の母親に戻れる。
考えたら期待値がどうしても高くなってしまい、自制をするよう、がっかりするよ?と言い聞かせ、でも予約時間より早めに病院に着いた。
結果は残念だけど「悪性」。通院している腫瘍内科の先生と同様「やらない後悔より、やっておいた方がいいんじゃないか」との答えでした。ショックなのはショックでしたが、やっぱりな、そうだよね、悪性だよね、と諦めがついたのを覚えています。
駐車場へ戻る道、大学校舎と
研究棟、白衣を着た未来を見る人々、綺麗な植え込みに噴水、歴史を感じる煉瓦造り、これらを涙目になりながらも「未来の子供の姿」に重ね、覚悟を決めた記憶。
そうだ、私の目的は「私が生きる」のではなく、「子供が一人で生きていく」力を身につけてあげたいから「生きる」のだ、と。
学生さんかな?将来子供たちもあんな風に整備された校内を未来を夢見て歩くんだろうか?そうだった、私がその姿を見ることを期待してはいけない。
だけど子供たちがその年齢に届く時、不安なく未来を見つめ考え歩いていける人になるための「土台」を遺したい。
治療内容については、通院中の病院と寸分変わらなぬものだった。エビデンスについても、なので治療するなら現在の先生のところだなと思った。
相変わらず、婦人科で術跡の具合を
診察後、腫瘍内科で治療をするのかそれとも経過観察にするのかを、先生に「先生どうしよう、決めらない」「やっても効かないかもしれないし」「先生の奥さんだったらすすめる?」などと先生があーもー、この患者は…と呆れて笑う会話をしに行ってた気がしなくもないけれど。先生も私自身も「やらないな」と思っていた。
だからかな、先生がなんならもう1箇所癌拠点病院もセカオピ受ける?と。あそこはまた別の抗がん剤の可能性があるよ、って。だから早速予約をとった。
少し距離があるけれど
行ってきました、三箇所目の癌拠点病院、大きくて驚きました。ここに来る方もまた皆が癌なのかと。
予約時間を2時間ほどすぎ、ようやく名前を呼ばれ入りました。その先生は効果がどうのではなく、元気な肉体があるうちに薬を使うべきでありセカオピをやってる場合じゃない、との意見。
そして確かにここでは他に2種の抗がん剤を使用できるが、まずはかかりつけの腫瘍内科と同じ治療をすべき、それでもダメならこちらにくればいい、と。
そこで腹が決まりようやく無治療を決めた。(よろしければこちらもどうぞ↓)
かかりつけの腫瘍内科の先生は
笑ってた。まぁもう抗がん剤の旬もすぎてるし、正直どちらとすすめられる訳ではないから経過観察で行きましょう、って。旬があるとは…
4月12日から始まった「悪性腹膜中皮腫」の治療について、どう選び進めていくのか、私の答えが出たのだった。
怖いけれど、子供と少しでも長く一緒にいたかった。愛していることを沢山伝え「何気ない日常」を丁寧に大切に過ごしたかった。そして一人で生きていける力をつけさせてあげたかった。
悩んだり迷った時、
調べるのか、尋ねるのか、相談するなら誰?そんな風に決めるための種類がある事を伝えたかった。
落ち込んだり元気がない時、気分転換するんだよ、その仕方も教えてあげたかったし、友達と喧嘩したらどうやって次の日会うのか、私の経験談を話してあげたかった。
上履きの洗い方、洗濯の畳み方、食器の洗い方、自分の部屋の掃除、そんな事も一緒にしたかったし。
あ、でもこれは性格だということがわかりました。子供②は制服のセーターは自分で手洗い派ですが、子供①は洗濯機で気にしない派でしたから。親の教えとか関係ありませんねこれは(笑)。
ここまで大きくなって思うことは、
親が教えたことより周りの大人に育てられたな、です。
友人宅に行き靴を揃えてから上がる、武道の先生の教えです。
目を見て笑顔で挨拶をする、ECCの先生の教えです。
字を丁寧に綺麗に書く、小学校の先生の教えです。
進路の相談、これは本当に子供①も子供②も学校の先生方が親身にあれこれと応援してくださったおかげです。
こうやって子供は周りの大人に教わり、自分を知り成長していくのだと私が教わりました。ありがたい事です。
とにかく迷ったらとことん納得するまで考える、わからなければ調べる、決めたら迷わないように頑張る(つい振り返っちゃいますからね)。
人間、常に学び、知り、成長していくのだと。
謙虚と感謝を小脇に抱え。
by中皮腫患者mochi
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