金環食の年はがん告知の年だった

金環食の年はがん告知の年だった

がんと告知されてからの心境の変化

昨夜、静まる部屋で雨の滴の音を「自然の音って癒されるなぁ」とほっこり聞いておりました。

それこそがんと宣告されてから目に映るものが眩しく自然界の生命力に改めて感動を覚えた記憶があります。

8年目の今年は緑が気になります。

花ももちろん綺麗なのですが、新芽が育ちスクスクと太陽を浴びドヤ顔で葉を繁らせている葉っぱの様子が、なんとも誇らしげでつい足を止め眺めています。

がん告知の年と金環食

がんと告知された時下の子供は小学生、それこそ植物を育て夏休みに持ち帰るお年頃でした。枯らさぬよう愛でた記憶が懐かしいです。

私が高校生の時、DREAMS COME TRUEのデビューアルバムを友達が貸してくれたのがきっかけでファンになり、二人でライブハウスに通った過去。

その後、うれしはずかし朝帰り決戦の金曜日など若かった私にグッと刺さる歌詞に心ときめかせて聞いておりました。

まぁ、高校生の頃は

洋楽も邦楽もジャンルを跨いで好きで聞いておりましたが、その中で「2012年に太陽の指輪(リング)を待っている」、そう「指輪をくれる?ひとつだけ」あの曲。

7月7日晴れ、とセットでこの季節あたりに好んで聞いていました。それこそ夫と結婚し、二度目の引越しの荷物があらかた片付いた晴れた初夏、

この曲を聴きならがアイスコーヒーを飲んだ記憶が蘇ります。

あの頃「2012年なんてすごい先だし金環食って何?その頃私何してるかなぁ」なんて思いながら、自分の結婚指輪を眺めた覚えがあります。

太陽の指輪(リング)

なんかワクワクするフレーズで、さすが美和ちゃんだなって。

さぁ時が進み、子供を二人産み、まさか自分が希少がんと宣告されるなど思いもよらなかった2012年の春。

中皮腫について検索したり、自暴自棄になりそうな自分をコントロールするのに精一杯で、それでも子供達が登校する日常は勝手に進んでいくわけで、

そんな2012年5月21日、

朝からテレビの金環食の中継を見ながら子供達と朝食を取り、見送った8時過ぎ一人ベランダで「太陽の指輪(リング)」をこの目で、くっきり、しっかり、はっきりと見ました

とても感動、そんな言葉で表せられない感動が押し寄せました。

夫と結婚する前の曲、それから家族ができ、皮肉にも命のゴールテープを勝手に突きつけられた年に、好きだった美和ちゃんのあの曲を、

私が実際に体験し、

今この目で見ている感動に、一人ベランダで涙を流しながら、まるで流れ星に願いをする子供のよう、

「どうか私の体からがんんがなくなりますように

どうか子供達を二人ぼっちにさせないでください、

どうかこの世から病気という病気がなくなりますように、

どうか、どうか、子供のために私を生きさせてください」と、気がつけば声に出し懸命に願っていました。

それでいて、そんな自分ともう一人、実際に金環食を見れたファンとして感動している自分がおりました。

頑張ろう、そう奮い立った瞬間でありました。

そう、家族のために私のために、

最善の道を選べるように頑張りたい、あの日の私は確かにそう強く願いました。

そんな過去をふと思い出した真夜中の雨音です。

今では下の子も英語を暗記する年になりました。あの頃は47都道府県を一緒に手を繋ぎ覚えていた過去。

今はもう手を繋ぐ歳ではないけれど、そっと応援できる未来が訪れることを、あの日の私に伝えても、きっと信じないだろうな。

『指輪をくれる? ひとつだけ 2012年の金環食(金環日食)まで待ってるから とびきりのやつをわすれないでね そうよ 太陽の指輪(リング)』

 時間旅行|DREAMS COME TRUE

 作詞:吉田美和  作曲:吉田美和・中村正人

by中皮腫患者mochi