生きたいと願うこと、終わらせたいと望む気持ち

生きたい、終わらせたい、難しい感情
ここ数日、どうしようもない寂しさと一緒に生活をしていた。
生きたいと願うこと、終わらせたいと望む気持ち、その人に起こる人生の様々な絡まりがあり、人それぞれに「生きる」という意味が変わるのだろうから、それを私が良い悪いなど恐れ多くて言う事はできないから、事実を受け止めていた。
その人にしかわからない「抱える重さ」が違うからね。だからびっくりしたけれど「受け止める」しかないのだ。ただ、寂しさと共にね、一人淡々と受け止める。それ以外に方法はないからさ。
悪性腹膜中皮腫とわかった時、
先生が「偶然見つかってよかった。わからなければ年内の命だったかもしれない」と言った。
生理が重い、頭痛持ち、肩こりがひどい、その程度であって、体内にそんなに早く進行する癌細胞があるとは思えない程には「普通」の体調だったから、信じられなかったし、だからこそ「食事=癌にも栄養」と思い食事が怖くなった。
告知の日からずっと、「私は長生きがしたいのだろうか」とたまに自分に問いかける。ううん、長生きがしたいのではない。
中皮腫による痛みや苦しさの期間が
なるべく少なく逝きたい希望はある、これが正直な気持ち。中皮腫が体内に残っているのは紛れもない事実で、ならば苦しまず逝きたいな、これが切実な本音。
私自身は、告知の時から「目標を決めず、未来を期待せず『今日』を生きる」と決めたのだ。ビビリな私にはこう思って過ごすのが楽だから…不安に潰れそうになる時に『今日』を重ねようと言い聞かせて生きているから。
「生きたい?」と問われたら、「子供が困った時寄り添いたい、そのために生きたい」と思っている。それは「動ける私」として生きていたいのだ。
歳を重ねたって、脆さは顔を覗かせるもの
その時に寄り添えるよう待機していたい、そのために生きていたいな、これが一番の望みだ。
小さくて言葉を知らなかった我が子たち、あの子たちが小学生の頃から、私は悪性腹膜中皮腫と共に生活をしているのだ。
心の中で死の恐怖をやり過ごし、「健康ですよん♪」という仮面をつけて、ヘラヘラ能天気なふりをしここまでやってきた。
その間も子供たちはぐんぐん成長を続け、
言葉でコミュニケーションをとり、自我が育ち、自分の意見を持つまでに成長した我が子たち。
幼かった頃の母子一体感は確かにものすごく幸せだった。少しずつ「自分で出来る」という発言が増え、誇らしくちょっと切なく、でもそれもまた嬉しい成長だった。
気がつけば自分で出来る、がほぼとなり、私にできることは「応援」となった。なんかしみじみ嬉しい。大きくなったんだなぁ、と噛み締める幸せ。
そして今は我が子たちが「一人の人間」として意見を持つ人になった。だから話をしていも3人、4人、それぞれ意見を交わす楽しさが増えた。
できれば30代や40代になったあの子たちと
会話をしたいなぁ。どんな人生を送るんだろうな、と好好爺のような気持ちを味わっている。その時まで生きていることが出来たらラッキーくらいの気持ちですが…(ビビリなんでね)
飄々と見えて繊細な部分、優しく気配りできる分疲れるだろう部分、陰と陽とでも言うのかな。
私の病気がそうだが、知人の距離の人は「知らない」ので、やっぱり私はヘラヘラ陽気な主婦にしか見えないそう、いつも楽しそうでいいなと言われる。うん、それも当たっているから嬉しいよ(笑)。
人知れず心に抱えているものがある、
これを身を持って知っているので、大切な人へ敬意を忘れず付き合っていたいと思っている。人に「言わない」事がある、それは誰にも当てはまるのだ、を念頭に置いて接したい。それは我が子だって同じだと思っている。
だから今私を纏っている寂しさも、いつ私の身に起こる出来事になるかはわからない。
きっと脆さとは、ふとその人に顔を出すのだろうし、今日はやり過ごせた、でも明日は飲み込まれるかもしれない。そういうものなのだろうと。
我が子たちが生きていく上で
どうしようもない気持ちに襲われた時、誰か寄り添ってくれる人がいてくれたら嬉しいな、と子供たちの未来に思いを馳せる。
難しいね、生きているから様々なことが起こるのだ。楽しいことも辛いことも。
大切な人が「今日も疲れた、ビールが美味い!」みたいに1日を終えてくれた嬉しいな、と思う。
関わった人たちがそれぞれのフィールドで、ほっこりする出来事があったら嬉しいなと。
どうか笑顔で過ごして欲しい
そう切に願う
それはもはや祈りだ
強く、強く、祈っている
そして
ひとつ
今は無理だけど
聴けるようになったら
また会いにいくね
忘れないよ
ありがとう
さらにもうひとつ
強く願っていること
命が繋がりますよう
強く願って祈ります
by中皮腫患者mochi
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