悪性腹膜中皮腫というがんについて知る事

悪性腹膜中皮腫というがんについて知る事

4月に悪性腹膜中皮腫と診断され、

その時に先生に言われたのは「あなたの世代に言っても無理だろうけれど、あまり検索しないでほしい」だった。

中皮腫という病名を初めて知った告知日の診察室で、先生がGoogle検索の1ページ目を見せてくれた時、言わんとしていることを理解した。

中皮腫にも種類があり、

患者の8割が胸膜、2割弱が腹膜、わずかに心膜、その他の部位、と患者がわかれる、という知識も持ち合わせておらず、

「希少がん」だとも、ほっておいたら「数ヶ月の命」だったことも、その時は全く知らずただ一人告知の衝撃に耐えていた。

その夜から寝ても起きても夢の中でも泣く日々が始まるのだが…。

衝撃のなかどこか冷静な部分があり、

黙々とまずは「中皮腫」という病気について情報を集めることにした。(※2012年4月時点の情報です)

わかったことは、

希少がんであること。

患者数が少なく、腹膜だとさらにグッと減ること。

中皮腫は初期は無症状なことが多く、異変に気がついた時には手の施しようがないことが多いこと。

手術できない場合が数多くあり、抗がん剤も胸膜中皮腫に関するエビデンスはあるものの腹膜は見当たらない

だから腹膜中皮腫の情報は、論文も(医学用語を辞書検索し)読み漁った。

わずかではあるが長期存命している例数件

数年生きたが悪化し亡くなったケースも。

当時は腹膜中皮腫に

アリムタという抗がん剤の使用も病院によっては行えず、中皮腫患者の方のブログには「アリムタ承認」を求める言葉をよく目にした。

早期承認を願っていたアリムタですら、胸膜において20%の奏功率であり、腹膜ではない。

そもそも腹膜中皮腫は中皮腫患者全体の2割弱、治験すら当時国内では見当たらなかった。

わかった事は、

手術がダメなら抗がん剤、その抗がん剤は主に2種類、奏功率は胸膜で15%〜20%程、腹膜の数字は並んでいない。

まずは「腹膜」って何?

そこから調べた。

手術を積極的に行う病院が病院があることがわかった。その手術日常生活に戻れる?どんな手術?、わからないなりに懸命に調べた。

情報を得るのに個人の方のブログをとても参考にさせていただいた。がんの種類は違っても、胃がんや肺がんで播種(散らばっていること)転移した方の治療もとても学びになりました。

腹膜中皮腫

初めから「播種転移」状態だと思って調べることにした。

腹膜の表面に小さな腫瘍が散らばっているのが私の状態。例えば、胃がんは胃にできた腫瘍、転移がなければ腫瘍を切る。

しかし転移をし、胃を突き破り腹膜へ転移をすると「腹膜播種転移」となる。播種転移はとてもやっかいで予後が悪いと知った。

私の場合は初めから「腹膜播種転移」と同様の状態と考えて、腹膜剥離術を行った方のブログ、論文、メリットとデメリットについて情報を集めた。

そして当時抗がん剤は、

シスプラチンが標準治療だったので、シスプラチンについて検索。

薬剤が強く、約1週間程入院しシスプラチンを投与後は生理食塩水と制吐剤 を点滴し薬剤を体外へ出す必要があるとわかった。

手術、抗がん剤、

ソース元のはっきりした検索、個人の方のブログ、隅々まで、読み漁った。

私が一番知りたかったのは、デメリット。手術の回数、腸閉塞、間質性肺炎、腎炎、胃ろう、腹水、ストーマ、本当にありとあらゆる可能性を思い検索を重ねた。

最悪の事を知識として持っているほうが私は性に合ってい。先生から言われた時に想像しやすいから。

これは私の性格がそう

希少がんであることがんの中でもすでにイレギュラーなのに、さらに中皮腫の中でも「腹膜」、レアすぎる。

だいたい病院の先生が実際に患者を診るのは初めてなんて病気でね。

がん拠点病院の2箇所ですら、2012年5月時、腹膜で来たのは私一人。手術を行った病院では数年振りと言っていた。

それほどレアながんを卵巣嚢腫の術中にみつけてくれたこと、本当に感謝しかない(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

当時、絶望の縁にいながらも、

病気についてメリットとデメリットを知識として得る事が、気持ちが前へ向く浮上へのきっかけになった

これだけレアなんだ、足掻くだけ無駄なんじゃない?って( ´艸`)

それが偶然見つかったんだから、ラッキーじゃない?って。

これもまた私の人生

とにかく今私重大な局面に立っていて「残り時間」があることがわかった状態

がんの治療の難しいところは

「やってみないとわからない」が本当に多い。先生が治療の提案をし患者自身が決める

「こんなはずではなかった」と思ってもやり直しは厳しいし、「やっておけばよかった」と後悔もこれまた切ない。

だからこそ判断は難しい。エビデンスが多くても、個人差ありすぎるから一概に数字だけで語ることができない

  • 自分の罹患したがんについて知る
  • そのがんの治療方法の種類を知る
  • 治療によるメリットとデメリットの知識を得る
  • 手術、抗がん剤、保険適用外治療の種類を知る
  • 希望通りの結果が得られない場合の次の手について
  • いよいよとなった時、無治療と延命治療、希望は?
  • 優先順位を誰に絞り治療を考えるのか(子ども?自分?)
  • 余命を逆算し入院期間、回復までの時間を知っておく
  • 泣きながらでいいから、自分の病気を知る

がん治療は意識のあるうちは「患者自身」が決定を迫られる。

ならばどれだけ泣いてもいいからどの様に人生の終焉へと自分を導くのか、これを決めるのが大事だと思っている。

辛いけれど、家族のためにも自分のためにも、ある程度の方向性、自分の意思を決めておくのが大切、当時の私も今の私も同じ気持ちでいる。

日常生活に支障が出る事、子どもと離れる日数について、これが当時の私の基準だった。

今の私の希望は、子どもが一人で歩いて行ける様に応援すること。

そして見守れたら嬉しいな。

by 中皮腫患者mochi